ABEMA PrimeのYoutube動画「【新聞記者】お金稼ぎは無理に?成田悠輔とジャーナリズムの未来」を見ました。
今回は新聞が売れなくなってきていて、デジタル戦略も上手くいっていないという話からはじまり、なぜ新聞は失墜してしまったのかの理由と行く末について議論がされていました。
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新聞社が落ち目になった理由
議論では様々な話がされていましたが、その最大の理由は、
ビジネスモデルを変えることができなかった
にあると思います。
新聞を配って毎月お金をもらう+広告費というビジネスモデルがネットニュースなどの影響で収益が下がっていたにも関わらず、デジタル化などその場しのぎの対応しかしていませんでした。
原因は新聞社の経営陣にあり、新聞社や新聞の未来が描けていなかったことだと思います。言ってしまえば目的地がわからないまま彷徨っていた感じです。
新聞の価値が下がっている
新聞社の根幹は情報発信です。その情報が以前では価値がありましたが、現在はインターネットで様々な情報発信がされており、相対的に価値が低下したと言えます。
もはや新聞である必要性が無くなりつつあるのが現状です。
また新聞の問題点として誤報があります。大きな話題は結構取り沙汰されて訂正が出たりしていますね。新聞だから正しい情報という時代では無くななりました。
さらにサイエンスやテクノロジーに関する情報はあまりにも質が低く、記者が内容を理解していないことがまるわかりで間違った情報も多かったです。新聞社は文系の方が多く理系の記者がほとんどいらっしゃないため、理解できる人が社内に居なかったのが原因でしょう。
そもそも理系の人でも分野が違えが触りはわかっても深くは理解できないような状況になってきているので、文系の人にとっては言わずもがなですね。
これらの誤報や一部の情報の質が悪いことは更に新聞の価値を下げることになっていると思います。
新聞記者だから記事が書けるわけではない
新聞の文章はある一定のフォーマットと文字数制限があり、それに当てはまるように書いていくのが記者の仕事です。これって実は誰でもできてしまうんですよね。
その典型例がTwitterです。誰しもが140文字という制限の中で情報発信をしています。もちろん返信機能などを使ってズラズラと書くことも可能ですが、基本的には140文字です。
プラス画像や動画もありますが、それにもある程度制限があります。
そしてわかりにくければ伝わらないので、多くの人が見ている人に伝わるように文章を書いています。さらに言えば、伝わるためにあえて文章を短くして読者に委ねるという手法も使われています。
つまり、Twitterで人気のある人(例えばインフルエンサーなど)は新聞記者よりも情報発信や文章作成能力に優れていると言っても過言ではないでしょう。
新聞記者のメリットは新聞社の名前が無いと取材ができないところがあるという点と、それまで培ってきた人脈でしょう。しかし、これは新聞記者の能力とは関係無いですよね。
新聞社の根幹は「独占できた情報発信」
結局何が言いたかったと言うと、新聞社の根幹は「独占できた情報発信」ということ。その独占ができなくなったこと、そして情報量が増えたことでビジネスモデルが崩壊したということです。
新聞社に未来は無いのか?
では新聞社に未来は無いのか?というと、実はいろいろな未来があると私は考えています。
その種として私が思うのは、
- 再び情報の独占をする
- 新聞をプラットフォーム化する
- 情報が遅れることを逆手に取る
- タブレットのレンタルをする
という感じです。
再び情報の独占をする
いわゆる囲い込みです。極端な例ですが、ジャニーズの情報は新聞でしか見れないとなったらジャニーズファンは新聞を買いますよね。
それを横展開していくわけです。
これまで通りニュースをやり続けても良いですが、メインは独占した情報なので紙面は結構変わってしまうでしょう。
また情報を独占すると大きな反発があることは覚悟する必要があります。
ただ、昔ながらのやり方を一番残しやすい方法と言えますし、未来がイメージしやすいです。
新聞をプラットフォーム化する
これはすでに動きとしては遅いのですが、端的に言えばTwitterのようなものを新聞社がやるということです。
前述したようにビジネスモデルを変換できなかったことが新聞社の失敗でした。
ですので根本から変えてしまうという方法になります。
一般の人であっても記者であってもすべて同じプラットフォームで情報を発信し、読者がそれを判断するわけです。
新聞社はそのプラットフォームを運営している会社ということになります。
紙の新聞は昨日のまとめみたいなカタチで残すことができるかもしれません。
また従来のようなカタチを残したいのであれば、新聞社が情報をネタとして公開するという方法もあります。で、そのネタを一般の人が切り取りしたり、キュレーションしたりしてプラットフォームで議論するわけです。
まさにTwitterですね。
広告モデルという部分は一緒ですが、B2CからC2Cに近いサービスになるので、新聞という言葉は無くなってしまうと思いますが、少なくともTwitterのポジションに新聞社はなれた可能性は非常に高いです。
情報が遅れることを逆手に取る
紙媒体はインターネットの情報の速さには勝てません。その時点で新しさはもう無いので、そもそも新聞って言葉が死語なんじゃないかと思います。
ですので、もういっそのこと新聞を止め、情報分析に特化した組織に刷新するという方法があると思います。
あらゆる情報について専門家を用意し、より深い分析を載せて情報発信するというわけです。
サッカー日本代表の試合について速報では勝てませんし、試合が終わっているのに紙面が古い状態のままという話が番組内でもありました。
であるならば、逆に1日遅らせて、選手のコメントをすべて取り、サッカーの分析もして、相手の分析もして、専門家の意見も載せて情報発信する方が良いのではないかという話です。
情報は少し遅れるけれども、これを見ればそのサッカーの試合がすべてわかるという感じ。
これは一般読者には受けないと思いますが、一部の読者には刺さると思いますし、価値が高まるので、1部の値段を高く設定することもできるでしょう。
ただ、マスは取りにくいので今のような体制を維持するのは難しいかもしれません。
タブレットのレンタルをする
いろいろと書いて来たのですが、私的に一番興味深くて、大きな組織を維持できる可能性があるのがタブレットのレンタルです。
このレンタル料で新聞を維持するという考え。
タブレットをレンタルすると新聞社の情報が無料で読めるという仕組み。
情報発信が速くなりますし、ダイレクト情報を届けることが可能。その人に合わせた情報発信も可能でしょう。
インターネットで情報を出して続きは会員のみという方式がありますが、それも続けつつ続きはタブレットレンタルしている人のみとすれば、タブレットレンタルの契約をしてくれる人も多いと思います。
もちろんタブレットは他のことに使ってもOK。自由にユーザが使えるわけです。
壊れたら一定の範囲内なら補償するなり、多少の追加料金であたらしくできたりするわけです。
このモデルの最大のメリットは別に新聞社のアプリを削除されても良いということ。
でも、お金払っている以上は削除しにくいし、新聞見ることになると思うんですよね。貧乏性な日本人は。
一家に一台テレビから一家に一台タブレットの時代というわけです。
値付けがいろいろと難しいところはありますが、そもそもハイスペックなタブレットって使いこなせている人はほとんどいないので、結構単価も安くできるんじゃないかなと。
また、アディショナルで保証特約とかもできますし、分野に特化した情報を追加料金で見れるというのもありますし、そもそもSIMカードを使うのであればそこでも利益が出ると思います。
さらに最初にこのタブレットレンタルを普及させた会社が市場を独占できるので他の新聞社が情報を載せたいというときに、そこからマージンを取るということもできます。
懸念材料としては、もっと早めに動き出していればという感じでしょうか。結構タブレットも普及しているので。ただ、スマホは持っているけどタブレットは持っていないという人が多いですし、新社会人あたりから侵食していけば、新聞社タブレットが覇権を取れる可能性はあるように思います。
ということで、いろいろと書いてきましたが、本来はこの新聞社の未来を創るのは経営陣の仕事なんですよね。それをやってこなかったので、ここまで状況が悪くなってしまいました。
その経営陣の不始末の割を食うのが社員というのはとても悲しい話だなあとしみじみ思います。