那須ハイランドパークに応募殺到で考える日本の最低賃金が上げられない理由とベーシックインカム

投稿者: | 2024-08-06

Yahooニュースで

那須遊園地 時給2500円に応募殺到 – Yahoo!ニュース

というニュースがありました。

SNSなどでは、

  • 賃金を上げれば人が集まる証明
  • 人手不足は安くて都合の良い人が不足しているだけ

といった意見が多いようですね。

これは確かにその通りだと思います。

中小零細企業には厳しい現実

一方で、中小零細企業にとっては、これほどの時給を出せるほどの体力が無いところがほとんどです。

時給を上げることは簡単だけれど、結果企業経営が苦しくなって倒産してしまっては本末転倒。

なので、中小零細企業にとっては時給を上げることが難しいというのが現状だと思います。

なぜ、中小零細企業の経営が苦しいかと言えば、多くの場合、大企業の下請けになっているからです。

他社との差別化ができ、価値を生み出し、利益を出している企業も存在します。

しかし、それはごく少数です。

そのような状況になる前に何とかするのが経営者という意見も至極真っ当だと思います。

ただ、ワタシが経験してきたり、見てきた企業の多くは、何とかしようと様々な試みをしているところがほとんどでした。

利益を出そうと思っていない経営者なんてほとんどいません。

まあ、社長だけが高給で、社員は薄給なんて会社は結構ありましたが、それでも全体から見ると、そのような経営者は少ないかなという印象です。

特に近年ではSNSの発展によって、社内の悪習などが暴露されるようなことも多いですし、ブラック企業も減りつつあるように感じています。

少し話が逸れてしまいました。

何が言いたかったというと、多くの経営者が利益を出すためにいろいろと苦心しているという話。

けれど、そのような頑張りは常に功を奏するわけではありません。

というか、ほとんどの場合、失敗します。

それは経営者の手腕の問題もありますし、運もありますし、会社の状況にも寄るので、原因が明確になることはありませんが、大体失敗するのが普通です。

利益が出せなければ、社員に高い給料を払うことはできません。

そのような企業は淘汰されてしまえば良いという意見もあります。

それも1つの考え方です。

ただ、1つの会社が倒産すると、その影響は結構大きく、一気に連鎖倒産なんてことになってしまったら、不況になることは間違いありません。

会社倒産による不況は、対処するのにとても時間がかかってしまうため、かなり長引くでしょう。

なぜなら、新しいビジネスと新しく生み出さないと雇用が創出されないためです。

今ある企業に雇用させるという方法もありますが、社員の給料を上げてしまうと、新しく人を雇うのが難しくなります。

もちろん、社員の給料を下げて、人を雇用するという方法もありますが、そうなってしまうと最初の給料を上げれば〜の話と矛盾するわけです。

何が言いたかったかと言うと、単純に給料や時給を上げれば良いというわけではないという話。

日本は中小零細企業が多い

日本は非常に中小零細企業が多いのが特徴だと言われています。

前述のように、簡単に社員の給料を上げられない、日本の時給がなかなか上がらないのは、この中小零細企業の多さにあるとワタシは考えています。

なので、ドラスティックに変化させるとしたら、中小零細企業を一気に無くすしかないのかなというのがワタシの見解です。

つまり、時給を上げる前に、企業の統廃合をするということです。

ただし、この中小零細企業の統廃合には、デメリットも存在します。

それは、安く使える取引先が減ってしまうということです。

日本の大企業の場合、かなり多くの部分を中小零細企業に頼っています。

その中小零細企業が無くなった場合、大企業への影響も非常に大きいです。

正直言えば、安く使えていた中小零細企業が無くなるので、大企業の利益が一気に下ってしまいます。

そうなると、大企業の利益が下がれば、大企業の社員の給料も下がるわけです。

これも日本の給与水準や最低賃金が上げられない理由だとワタシは思っています。

最低賃金を上げると中小零細企業が倒産する可能性がある

ここまで読んでいただけた方はもうご理解いただいていると思いますが、最低賃金を上げると中小零細企業が倒産する可能性があり、結果として不況になったり、大企業で給与をたくさん貰っていた人も給与が下がってしまうということです。

これが今の日本で最低賃金が上げられない理由だと思います。

単純に時給を上げれば良いだけというのは、その後に起きる可能性がある問題が見えていないということです。

では、最低賃金を上げるのに反対なのか?というと違います。

最低賃金は上げるべき派です。

ただ、現状のままでは、絶対に難しいだろうなと思っています。

というか、無理に最低賃金を上げてしまうと、日本はかなり酷い不況になる可能性が高いです。

昔だったら問題無いのですが、聖域なき構造改革によって派遣社員やフリーターを増やしてしまった現状では、当分難しいでしょう。

なぜなら、今の企業においては最低賃金を上げてしまえば、派遣切りやそもそも雇わないという選択をするからです。

雇用が減ってしまうという話。

昔だったら問題無いとワタシが考えているのは、昔は中間マージンというビジネスがあったからです。

能力が高い人たちが中間マージンで利益を得ている社会

中間マージンというと、非常に悪いイメージがあります。

いわゆる中抜きですね。

日本はある時期から中間マージンが非常に悪者にされて、成果主義、能力主義へ舵を切りました。

ただ、中間マージンは現在でもしっかり残っています。

IT業界では、孫請け曾孫請けなんて言葉があって、大企業が官公庁の発注を一次請けして、それを中小零細企業に再発注するというのが普通です。

その時に大企業はがっつり自分たちの利益を確保しています。

結果として不具合が発生した場合、大企業が孫請け曾孫請けの企業に損害賠償請求をするといったニュースがありますよね。

また、大企業で無くても、同じような一次請け目的で作られた会社というのは、日本にはたくさん存在します。

驚くべきことに、派遣社員を増やし、成果主義、能力主義に舵を切らせた人たちが、そのような会社で中抜きをしているのが現状です。

つまり、どういうことかというと、中間マージンを無くしていく一方で、自分たちは中間マージンで利益を得ているわけ。

端的にまとめると、能力のある人たちが中間マージンで利益を得て、何もしなくなってしまったということです。

成果主義、能力主義でいくならば、能力のある人たちはその能力を如何なく発揮して、利益を上げるのが目指すべき社会と言えます。

しかし、能力がある人たちは、能力を活かすのではなく、悪知恵を働かせて、中間マージンで利益を得る方法を考えるようになってしまったのです。

もちろん、すべての人とは言いません。

しっかり自分たちの能力を発揮してビジネスをしている人たちもたくさんいます。

しかし、そうじゃない人たちもたくさんいるのが現状です。

能力のある人たちが、中間マージンで利益を得て、ちゃんとビジネスを考えなくなってしまったら、それは日本経済がうまくいくはずがありません。

これが日本が失われた30年、そして当面、日本が成長できない理由だとワタシは考えています。

中間マージンは悪ではない

ここまで書くと中間マージンは悪のように思えるかもしれませんが、ワタシは中間マージンは必要なものだと思っています。

ただ、中間マージンで利益を得て良い人というのは、正直言ってしまうとビジネスの能力が低い人たちです。

昔の日本というのは、総中流社会と呼ばれていました。

能力が高くても低くても、中間マージンという何も価値を生み出さなくても利益を生み出すビジネスがあった影響で、多くの人がそれなりの給料を貰えるという社会です。

それが日本の高度経済成長を支えていた一因とも言えますし、日本が様々な文化を生み出すことができた原動力だと思っています。

で、そのような状況で能力のある人たちは、もっと能力に対する対価を欲しいと考えました。

それが成果主義、能力主義への流れです。

ところが、実際には中間マージンというビジネスを能力のある人たちで独り占めするというのが目的でした。

それが最初からそうだったのか、結果としてそうなってしまったのかはわかりません。

ただ、日本は総中流社会から格差社会になり、ビジネスの能力の無い人たちはどんどん貧困へ落ちていっています。

いわゆる二極化です。

では二極化が悪いかというと二極化自体は、そこまで問題でもありません。

問題なのは、年齢に寄る二極化が起きてしまったことです。

ちゃんとしたビジネスをしていなくても儲かった昔の時代の資産や権力を、高齢者たちがずっと持ったままになっています。

理想的には、全員同じ地点から用意スタート!できれば良かったのですが、それは難しいですよね。

なので、高齢者たちはスタートラインが遙か先で、若者たちはずっと手前からスタートするしかありませんでした。

それが今の日本の格差社会の本質というか、問題点とも言えます。

資産や権力があっても、能力が高いわけではない人たちが日本を仕切っている状態です。

これは資本主義が生み出してしまう問題とも言えるかもしれません。

ただ、少なくとも言えることは、時代はどんどん変化しているのに、変化に対応しにくい高齢者の方たちが舵取りをしている限りは、どうやってもうまくいかないということです。

人間、歳を取ると能力はどんどん衰えてしまいます。

ですので、能力主義であるならば、そのような高齢者は給料が下がらないとおかしいですし、淘汰されなければいけません。

しかし、今の日本はそうなっていません。

中間マージンというビジネスによって、能力が低くなってしまっても、たっぷりとお金を稼ぐことができるので、結果として資産や権力構造が変えにくくなっています。

これが日本の成長が鈍化してしまった最大の原因です。

と、中間マージンが悪いように聞こえますが、大切なのは能力が無くても中間マージンというビジネスであればお金を貰える人たちがいるということ。

昔は非常に多くの人たちが中間マージンという恩恵を得ていたのですが、今はそれが一部の人たちによって独占されてしまっているため、能力が無い人たちにお金が渡らなくなってしまったということです。

能力が無い人たちにお金を渡す必要なんて無いという意見もありますが、それは正しくありません。

経済とはお金が回ることで良くなっていきます。

一部の人たちがお金を専有し、消費しなければ、経済は回らないのです。

まさに今の日本がその状態で、高齢者がお金を囲ったままなので、経済が回りにくくなってしまっています。

金は天下の回りものなんて言葉がありますが、まさにその通りで、お金が回らなければ、どうやっても経済は上向きません。

能力が無い人であっても、生きていくためにお金を使います。

そうなれば経済は回るわけです。

日本がこれほどの高度経済成長を遂げることができたのは、まさにこの中間マージンによって総中流社会で、多くの人がばんばんお金を使ったことが理由だとワタシは思っています。

そして、日本が大きく成長できたのは、人口の多さも理由です。

つまり、中間マージンという能力が無い人でもお金を貰えるビジネスによって、非常に多くの人にお金が渡り、それをじゃんじゃん使ったことで、経済が周り、さらにお金が稼げるという好循環だったという話。

ちなみに能力が無い人というのは、あくまでビジネスの能力という意味で、低能ということではありません。

前述したように、日本は世界でも稀有な文化発展をしてきました。

その文化発展を支えた人たちこそ、ビジネスの能力が無い人たちです。

結局、ビジネスセンスがある人もいれば、創作のセンスがある人もいれば、料理のセンスがある人もいるわけで、ビジネスセンスだけで社会は成り立っているわけではありません。

様々な能力の違いがあるからこそ、多様な文化が生まれ発展していくわけです。

そしてその多様化を実現するには、ビジネスセンスが無くてもお金を稼げて生きている社会なのではないかというのがワタシの意見。

結果として、中間マージンが悪とし、無くしてしまったことで、総中流社会が崩れ、様々なところで閉塞感が生まれてしまったということです。

中間マージンの代替としてのベーシックインカム

じゃあ、中間マージンを復活させれば良いのか?というと、現状では現実的ではないと思います。

理由として、中間マージンという言葉が悪いこととして、認識されてしまったからです。

ですので、代替策が必要だとワタシは考えています。

それがベーシックインカムです。

全員にお金を配るというベーシックインカムは、ビジネスセンスが無くてもお金を貰えて生きていけるようになります。

総中流社会では無いですが、底上げすることで総中流社会に近いような形を生み出せると考えています。

ベーシックインカムを導入することで、消費は確実にアップします。

お金を貯める人もいるんじゃないかという意見もあるでしょうが、そもそもそれはある程度稼ぎがある人の考え方です。

昔のように総中流社会ならたしかにそうでしょう。

しかし、二極化しつつある日本においては、お金を貯蓄する余裕が無い人の方が多いです。

ですので、経済が回ります。

さらに、ベーシックインカムによって、最低限の生活ができるようになれば、今までやりたかったけどできなかったことに挑戦できる社会になるでしょう。

そうすれば文化がさらに発展していくのは間違いありません。

そして、東京一極集中という問題も解決できます。

ベーシックインカムの金額については様々な意見があると思いますが、東京で生活できるほどの金額になることはありません。

というか、そんな金額を配るのは難しいです。

しかし、地方だったら暮らしていける可能性があります。

つまり、東京一極集中を分散させることが可能です。

他にもベーシックインカムには様々なメリットがあります。

でも、一番大きなメリットは銀行です。

毎月振込みという形にすれば、振込み手数料だけでかなりの金額になります。

これは銀行にとってのサブスクリプションに近いものです。

銀行の経営がこれまで以上に安定するでしょう。

ベーシックインカムのデメリットとしてよく言われるのが、働かなくなる人が増えるという問題です。

しかし、消費は行われるので、経済は回ります。

また、実際に本当に働かなくなる人というのは、そこまで多くないでしょう。

これはベーシックインカムの金額にも寄りますが、月5万程度では生きていくのはかなり大変だからです。

結局働くことになります。

また、ただダラダラと生きていく人はほとんどいません。

遊んで暮らしたいと思う人が多いでしょう。

けれど、その遊びこそが文化の発展に大きく寄与するとワタシは思っています。

というか、文化というのは、そもそも生存という観点で言えば、不要なものが多いです。

ですので、文化というものに対して、どれほどの価値を置けるかで、見え方は変わってくるんじゃないでしょうか。

最近でわかりやすい例で言えば、Youtuberなどがそうですね。

遊んでそれをコンテンツとして配信して収益を得ている人たちがたくさんいます。

で、そこから新しいものがたくさん生まれていますよね。

さらにベーシックインカムの導入によって、犯罪率も下がる可能性が高いです。

特に日本では。

あ、そうでした。

最低賃金の話でしたね。

ベーシックインカムをすれば、最低賃金を上げる必要も無くなります。

また、ブラック企業で働く理由も無くなるでしょう。

と、他にもいろいろとベーシックインカムによって良いことがいろいろと起きると思っています。