小説家や脚本家などを目指している方は、一度は読んでおいた方が良い本だと思いました。
物語には一定のパターンが存在します。起承転結などもその1つです。本書はその中で、「どんでん返し」にフォーカスしたパターンについて解説しています。
天才は開花する
世の中には天才と言われる人たちがいます。彼らは何もしなくても、スラスラと面白い小説を書くことができます。
例えば、森博嗣先生は、2時間で小説を書いてしまうと言われています。短編ではありません。新書の1冊です。最近では10歳で小説家となった倉本莉亜先生がいます。また、16歳で賞を取った綿矢りさ先生や17歳で賞を取った乙一先生なども天才と言っても良いと思います。
賞に年齢は関係ないと言いますが、高齢で賞を取っている方の多くは、そもそも賞を取る前から、前評判の高い方が多かったりします。
つまり、天才というのは、勝手に開花するものなのです。
最後まで小説書けない病
けれど、普通の人には難しいんですよね。ワタシも何度も小説を書こうとして断念しました。最後まで書けないのです。最初は勢いよく書くのですが、起承転結で言えば、起の段階で力尽きます。
それは単純に飽きっぽいのかなーって思ったのですが、一番の理由は、最後までの道筋が見えていないことが原因だと思います。
一度書ききった小説はありますが、何度も何度も構成を変えて書き直して、かなーり時間がかかった上に、最後の方は自分自身で小説全体の流れが把握できなくなっていました。
独力の限界と言えるかなって思います。才能がある人は、全部頭の中で組み立てられているので、構成を変更しても問題ないのですが、ワタシのような一般人には難しかったです。
型を学ぶ
本書でも同じような指摘をしています。そして、型を最初に学ぶことを推奨しています。
特に本書で見るべきは、中盤以降に紹介されている型による仮筋の作成。仮筋とは物語の流れを説明したものです。まずは本書の型に従って仮筋を作るのが良いと思いました。
中身を読んでいただくとわかるのですが、この型を意識して小説や映画など見ると、ああ、そういうことかーっというのが見えてきます。あくまでどんでん返しを主体としているので、ドキュメンタリーとかノンフィクションの小説や映画には向かないですが、それでも、何かしらの型にハマっていることがわかります。
これが、結構いろいろな小説や映画に適用できるので、汎用性が高いと感じました。つまり、この型に従って仮筋を作っていけば、ある程度の物語は書けると思います。
あくまで面白い物語の構成について書かれた本
本書ではあくまで面白い物語の構成について書かれた本です。つまり、面白い小説や映画の本ではありません。
何が言いたいかというと、どれほど面白い構成で物語を書いても、面白い物語になるとは限らないという話です。
小説であれば選ぶ言葉や表現、映画であれば構図や間など、面白い小説や映画の要素というのは他にも存在します。本書はスタートラインと言っても過言ではありません。
また、本書では主に主人公が敵と戦うという物語をベースに、物語の構成について詳しく書かれています。ですので、敵がいないような物語ではそのまま適用はできません。ただ、エッセンスは使えるように思いました。
今まで、小説を書かきはじめたけど、最後まで書けなかった方は、ぜひ一読してほしい一冊。
出版業界で20年にわたって1,000以上のベストセラーの広告に関わってきた男が、禁断のストーリーデザイン技術を丸裸にした伝説のブログをついに電子書籍化。プロに「面白い!」「売れる!」と言わせるシナリオには「法則」があります。これを手にした人は、大どんでん返しに腰を抜かす事になるでしょう。
大どんでん返し創作法: 面白い物語を作るには ストーリーデザインの方法論 (PIKOZO文庫) Kindle版
著者:今井昭彦
以下、私的メモ
- 物語にはどんでん返しが必要
- 面白い物語とはドラマチックなストーリー
- ドラマチックなストーリーとは葛藤
- 葛藤とは対立
- 対立は物語のエンジン
- ストーリーの型
- 主人公の目的とその達成を邪魔する障害物
- 主人公の目的は欠落感から作る
- 欠落感は大切なものを奪うこと
- 最初の選択と第二の選択で主人公の成長を表現
- 目的を追う主人公がそれを邪魔する敵と戦う
- 意外な結末とどんでん返しは違う
- どんでん返しは主人公の目的、主人公の敵に仕掛ける
- 主人公の敵に仕掛けるどんでん返しには8パターンある
- 仮筋
- 物語に魂を込める要素(タイムリミット、事件のきっかけ、主人公の成長等)
- 伏線と並行線