書籍「ルールズ・オブ・プレイ(上)ゲームデザインの基礎」の私的メモ

投稿者: | 2019-11-18

ゲーム製作者必読の書と言われるルールズ・オブ・プレイ(上)のワタシ的に感じたことなどをメモ。後で見返した時の私的メモなので、いろいろと変なところもあるかもしれませんが、ご容赦くださいませ。

あと、ワタシは運良く新品を見つけることができましたが、絶版なので、基本中古しかないみたいですが、Kindle版がリリースされているので、購入するならKindle版も良い気がします。中古で買うよりもトータルで費用も安いです。

はじめに

掴み的な章です。

キーワード:インタラクティビティ

第1章「この本について」

タイトルそのまま。本の概要が記載されています。あと、執筆者のゲームに対する整理の方向性も書いてありました。

これまでのゲームデザインの議論や論文などから、執筆者が考えた分類です。ゲームの分類と敢えて書かなかったのは、執筆者の方達のスタンスから。

ワタシ的に一番見るべきところは、読書案内かなと思いました。参考とした文献とちょっとした解説、おすすめの章が記載されているのですが、どれも面白そうです。時間を見つけて、軽く全部目を通したいなと思いました。

キーワード:ゲームデザインのスキーマ(図式)、ルール、遊び、文化
私的メモ:この段階で、ゲームと遊びが分かれている点が興味深い。

第2章「デザインの進め方」

ゲームデザインの大切なポイントは、繰り返しだと述べ、演習を通してそれを学ぶことを進めています。演習には、いろいろな種類があります。それぞれの演習がどのような内容で、どのようなデザインについて学べるというよりも、特定のデザインについて理解を深めることができるか?ということがまとめられています。

キーワード:繰り返しによるデザイン、ゲームデザイン演習
私的メモ:演習については後々の章に記載されているそうなので、楽しみです。ワタシ的に、この本を元に演習をしてみるのも楽しそうだなあと。

依頼エッセイ「ボードゲームのデザインとテスト-ロード・オブ・ザ・リング」

ライナークニツィア氏がロード・オブ・ザ・リングのボードゲームを作った時の話のエッセイです。具体的な方法論についてはほとんど触れておらず、どちらかというと、こんな風にゲームを作ったよという内容です。読み物としては、とても面白いですが、ゲームデザインという意味では、参考程度という感じでしょうか。

キーワード:台本によるゲームシステム
私的メモ:ロード・オブ・ザ・リングのボードゲームは百万セット以上売れているそうです。すごい。

第3章「意味ある遊び」

「意味のある遊び」をキーワードに、ゲームデザインについて検討している章です。ホイジンガ氏の説などを出しながら、「首尾よく運ぶゲームデザインの目標は意味のある遊びを生み出すこと」と結論を出しています。さらに、意味のある遊びについて、推し進め、ゲームに必要なことについてまとめています。

キーワード:意味ある遊び、説明する定義、評価する定義、認識できる、統合できる、フィードバック、分かること

私的メモ:この章はとても短いので、ゲーム制作をする上で、軽く読んでおくと、制作するゲームに深みが出そうな気がしました。この章を読むだけでも、例えば人狼の欠点は、そもそもゲームに必要なことが足りていないからだと考えることもできるためです。とても意味のある内容だと思いました。

ただ、ワタシ的にここまで読んで、この本では、ゲームとは何かについては、これ以上触れられないのではないか?と感じました。第4章からは記号論などについて論じられるためです。

本書では、ゲームとは何か?について、ある程度、答えを出しています。しかし、ワタシ的には別な定義の方が、しっくりくるのではないかなと考えています。このあたりは、もう少し読んでみないとわからないなあという印象です。

1つ言えることは、本書と執筆者の立ち位置は、ゲームを制作する側から見たゲームであり、ゲームデザインなのだろうということです。実際に、本書の多くは、ゲームのパターンについてまとめられているので、ゲーム制作者にとっては、非常に価値のあるものだと思います。

ゲームの専門学校や大学のゲームに関する講義などでは、きっとこれらの話は、しっかり教えられているんだろうなと思うと、ゲーム制作者の方達はすごいなあと思いました。まだ、ざっくりですが、ソフトウェアパターンやアジャイル開発などが頭をよぎったので、ソフトウェア開発と似ているところはありそうかなあと。

第4章「デザイン」

この章では、デザインの定義から入っていき、記号論についての簡単な概説を行い、それがゲームにおいてどのような位置付けにあるのかを、実際のゲームを例に解説しています。記号論、システム、記号、文脈、意味、表象について、それぞれがどのような概念で、ゲームデザインとどのように関わっているのかについて解説しています。

キーワード:デザインの定義、記号論、記号論の4つの概念、文脈(コンテキスト)、意味
私的メモ:ブタをなぜ「ブタ」と呼ぶのかについて、合意によって成り立っているという当たり前の話から一歩進め、記号とは何かについて、わかりやすく説明されており、ワタシ的に記号論の方にも興味が湧きました。ボードゲームでは、コマやボードなど様々な記号があるため、この章を読んでおくと、「コマやボードがそもそもどうあるべきか?」や「どうつながっているのか?」について考える指針となりそうです。この後に記号についてさらに詳しく書かれていますが、この章だけでも、ゲームをデザインするにあたって、示唆に富んでいると思います。

※追記:第7章で「ゲームを定義する」という章があり、ゲームについて厳密な定義がされていました。以下はこの時感じたワタシの感想とお考えください。
また、ここまで読み進めて、いろいろとわかってきたことがあります。執筆者たちは「ゲームを意味ある遊び」と捉え、それを生み出すのが「ゲームデザイン」であるとしています。

ルールズ・オブ・プレイではゲームデザインによって意味ある遊びが生まれるとしており、ワタシ的にはルールズ・オブ・プレイの方がしっくりくるかなと感じています。ゲームデザインにはルールも含まれていますし、ルールズ・オブ・プレイの執筆者たちはインタラクションについてはもゲームデザインにおいて重要としています。それは記号論の章にも色濃く出ています。

ワタシ的に、ゲームについては、別の定義を考えています。それは、すべてのゲームが面白いわけではないからです。世の中にはつまらないゲームが存在します。「それらはゲームではない。」とすることもできますが、ワタシ的にはちょっと違うのかなと思ったりしているところです。

ルールズ・オブ・プレイでは、後々の章でこの辺りについても解説があるみたいなので、それらを読んでから、自分の考えをまとめようかなと思っています。

第5章「システム」

この章では、システムという言葉について理解を深めるため、その意味やゲームにおけるシステムとは何かについて解説しています。具体的なゲームシステムというよりも、システムそのもののをどう捉えるのか?という話です。

キーワード:システム、インタラクト(互いに作用する)、システムの共通要素(構成要素・属性・内的な関係・環境)、形式のシステム・経験のシステム・文化のシステム、閉じたシステム・開いたシステム

私的メモ:この章を読んで、当たり前のように使っているシステムという言葉について初めて考えました。このアプローチは良い経験になったなあと思います。特に、システムの共通要素については、視点によって要素が変わるため、システムを捉える上で、どこに軸足を置くのかが重要になりそうです。

システムを分析するにあたっては、軸足を共通にして、様々なゲームに適用することで、そのゲームの本質が見えてくるようにも思います。また、システムの分類というか、切り分けとなる形式のシステム・経験のシステム・文化のシステム・閉じたシステム・開いたシステムのそれぞれについては、ゲームを見直す上で一度知っておきたい考え方だなあと。

システムという言葉自体が、どうしても捉えどころのないあやふやな概念、つまり名詞で定義しにくいため、この切り分け方はとても大切だと感じました。すぐに何かに使えるという話ではないですが、ゲームを作る上で土台となる部分ですね。

第6章「インタラクティビティ」

この章では、インタラクション、インタラクティビティ、インタラクティブについて、一般的な概念からゲームにおけるインタラクティビティについて解説しています。また、ゲームにおける選択という行為について、解剖を行うことで、そのゲームにおける足りない点を明確にできるとしています。ただし、選択の分解は1つの道具であり、万能ではないともしています。

また、ゲームにおける可能性の空間について言及し、ゲームにおける重要な要素としています。

キーワード:インタラクション、インタラクティビティ、インタラクティブ、行為、結果、選択の解剖

私的メモ:インタクティブがゲームを形成する上で必要な要素であることが十分するぎるほどわかりました。ただ、インタクティブ自体がゲームか?と言われると、そもそもインタクティブ自体があらゆる物事に当てはまるため、ゲーム=インタラクティブではないんだろうなと。そのあたりは、この本を読んでいても感じました。

また、選択の解剖については、かなり興味深い概念です。本書では、5つの段階に分けていますが、それぞれの段階が確かにゲームを制作する上で、考えておきたいポイントだと思いました。自分が作ったゲームの場合、いくつか足りていないポイントがあったなあと実感します。

選択においては、ミクロの選択とマクロの選択という言葉を使い、戦術と戦略に当てはめており、うまい表現だと感じました。

何も考えずにゲームを作ることはできますが、この章を読んでから作ると、ゲームをデザインする際に、さらに視野が広がる、つまり見るべきポイントが増えるので、よりよいゲームを制作できるようにも思います。

第7章「ゲームを定義する」

この章では、執筆者たちのゲームの定義を提案しています。その定義に入る前に、遊びとゲームの違い、また先人たちが提案しているゲームの定義について列挙しています。

キーワード:ゲームの定義、遊び
私的メモ:ここに来て、「ゲームとは何か?」について明確に定義をしています。ワタシ的にいろいろなゲームの定義が列挙されている点はとても面白く拝読しました。また、執筆者たちが提案しているゲームの定義については、とても興味深いです。なぜなら、彼ら自身の定義では、一般的にゲームと言われるものをゲームと定義できない可能性もあり、それを自分たち自身で説明てしているからです。

ワタシ的にですが、執筆者たちのゲームの定義は、なんとなくデジタルゲーム系らしい感じを受けました。それは良い意味でです。そもそも彼らの目的自体は、面白いゲームを作ることであり、それは彼らの領域において定義でき、それによって面白いゲームができれば良いからです。

この辺りは、ワタシ的に目から鱗でした。つまり、ゲームというものを、すべてのゲームが当てはまるような定義にすることが大切なのではなく、ゲーム自体に形を与えることが重要という点です。そのため、本書内でもこの定義は狭い感じもするというような文章があり、あえて狭くしているのだなあと感じました。この辺りの感覚は、日本人にはないかもしれないなあと思ったりします。

また、先人たちのゲームの定義にはルールの要素が入っており、この辺りは非常に興味深いです。なぜなら、多くの人がルールがないゲームは存在し得ないと考えているからです。例えば、「100万円を稼いだら勝ち」というゲームがあったとして、方法は問わない場合、これはルールがないとも言えそうです。そしてその面白さは、どうやってプレーヤーが100万円を稼ぐか?という点にあるようにも思います。ルールがないものはゲームではないという考え方もできますし、「100万円を稼いだら勝ち」という目的そのものがルールでもあるという考え方もできます。

ただ、ワタシ的にはルールと目的は別個に考えたほうが良いのではないか?と思っています。というのも、ルールと目的は性質が異なるものだからです。

第8章「ディジタルゲームを定義する」

この章では、全章で提案されたゲームの定義とは別に、ディジタルゲームとは何かについて議論されています。執筆者たちは、その特徴として「即座で限られたやりとり」「情報の取り扱い」「自動化された複雑なシステム」「ネットワークによる通信」を挙げています。これらについて、アナログゲームとの比較を通じて解説しています。

キーワード:ディジタルゲームの定義、即座で限られたやりとり、情報の取り扱い、自動化された複雑なシステム、ネットワークによる通信

私的メモ:ディジタルゲームの特徴って何なかなと、ワタシ的にいろいろと考えさせられる章でした。ディジタルゲームは、コンピュータを使うことが前提条件とすると、それ自体も特徴の1つなのかもしれないなあと。

つまり、コンピュータを使うメリットそのもののがディジタルゲームの特徴にもなるというか。逆に言えば、コンピュータを使うメリットがなければ、ディジタルゲームとしては、あまり魅力的ではないのかもしまれません。

ワタシ的にiPhoneやiPadでボードゲームをすることがありますが、その経験として、もっとも特徴的なのは、ゲーム時間の短さかなと。実際にボードゲームをする際と比べて、時間に差が出てくるポイントは、ゲームの準備、得点計算、AIの思考時間ですね。それらは、上記の特徴にも入っています。

あと、人気のボードゲームはオンラインで対戦者がいるので、いつでも対人戦ができるというのも良いところです。これも、上記特徴に入っていますね。

ただ、「即座で限られたやりとり」については、ディジタルゲームの特徴か?と言われると、少し疑問がありました。アナログゲームは確かになんでもできますが、それはルールが変わることにつながるので、それ自体、ゲームという枠を超えそうなきもします。つまり、限られたやりとりというのは、アナログゲームでも存在するかなという話です。執筆者たちは、プレーヤーが改変しにくいという点から限られたという点を挙げている気がしますが、そもそもゲームシステムを改変することは、そのゲームが異なるゲームになることを意味するので、ゲームとしては別のものと考えたほうが良い気もしています。加えて、ディジタルゲームでも独自のルールを変えて遊ぶことができますし。

また、単純に時間だけで考えるなら、超高速で動くことができる人間同士ならば、即座にという点も無理に入れる必要はないのかもしれないなあとか。また、即座にという点で言えば、コミュニケーション系のゲームの人とのやりとりはそもそも即座なので。

執筆者たちが言いたいのは、たぶん、入力に使うものが一緒、つまりコントローラーや、キーボード、マウスのことなのですが、このあたり、汎用性・頒布性・量産性などの点から入力に使うものが一緒になったわけで、専用コントローラーも作ることができますし、ディジタルゲームの特徴としては弱いのかなと思ったりしました。

あと、執筆者の方々はディジタルゲームの定義にこだわっているわけではないので、ある程度の方向性として示していると捉えるのが良さそうです。

第9章「魔法円」

本章では、ゲームと日常との違いにおいて、枠があることを提示し、ゲームにおいてその枠が重要としています。ゲームが行われている空間を魔法円(マジックサークル)と定義し、遊びとゲームの違いについて魔法円により境界を明らかにしています。また、ゲームにおいて重要な「楽しもうとする心構え」について言及し、ゲームというものに形を与えていきます。

キーワード:魔法円(マジックサークル)、信じる、ゲームの枠、楽しもうとする心構え

私的メモ:ゲームとは、意味のないものに意味を与える行為とも言えそうな気がしました。ゲーム参加者は、ゲームを楽しむとういう前提条件があり、それを信じているからこそ、ゲームが成立するという本書の考え方は、大切なポイントだと思います。

なぜゲームをするか?と言えば、楽しみたいから(楽しもうとする心構え)というのが執筆者たちの考えです。

その例として本書では、相手を倒したいのであれば銃を使えば良いが、そこに楽しみはあるんだろうか?という問いがでてきます。本書では、楽しみはないとしていますが、ふと個人て的に思ったのは、快楽殺人などはどうなんだろうなという疑念です。ホラー映画の見過ぎかもしれませんが、世の中には相手を殺すことで楽しみを感じる人間もいるという話です。まあ、重箱の隅をつつくような話をしても仕方がないですが、ワタシ的にはちょっと違う考えを持っています。

また、本書の中で効率が悪いことは楽しいという話がでてきて、これは非常に面白い視点だなあと感じました。効率を良くしていくのが人類の歴史だとすれば、我々はどんどんつまらない世界を作り出そうとしているに他ならないからです(笑)

これは、ワタシ的な感覚ですが、もしかすると人間の本質がその辺りにありそうな気もしました。

ちなみにワタシは、街を歩くのが結構好きで、珍しいお店を見つけるとうれしくなります。ただ、ガイドブックやGoogle先生を使えば、もっと効率的に見つけられるなあと松戸のラーメン店を探し歩いていた時に思いました。つまり、街を自分の足で歩いてお店を探すのは効率が悪いですが、とても楽しいということです。
ゲームにおいては、この効率の悪さというのは、もしかすると面白いゲームの要素として重要かもしれないと思ったりしました。

あと、以前に面白いとは何か?で、まだまだ考えていたのでここで合わせてメモ。

面白さの反対はつまらないです。つまらないを面白さがわからないと言うことはないでしょうか?

また、楽しさの反対は退屈です。退屈を楽しさがわからないとは言うことはあるでしょうか?

他者が楽しそうにしていることがわからないとうのはわかりますが、楽しさ自体がわからないという表現はないように思います。そう考えると、楽しさは状態を表す表現と言えそうです。

このように考えると、やはり面白さというのは、わかるorわからない、つまり、人間の理解が大きく関わっているようにも思います。つまり、人間がゲームや遊びをする理由がこの辺りにあるのではないか?とワタシ的に考えています。

第10章「主要図式」

この章ではゲームデザインをするにあたってゲームの構成要素を形作る枠組みについて解説しています。図式(スキーマ)とは何かについて紹介後、主要図式としてルール、遊び、文化の3つを提示しています。内容としては、それぞれの細かな話ではなく、本書では今後、ゲームを3つの構成要素に分けて考えるという話です。具体例は少なく、概念的な話が多い章となっています。次章以降では、それぞれの図式について解説しており、その前段と考えてください。

キーワード:フレームワーク(枠組み)、図式(スキーマ)、ルール、遊び、文化
私的メモ:この章は、今後の章を読むための準備なので、特に多くを語らずという感じではあります。ただ、ワタシ的に気になったのは、ゲームの必須要素としてルールが共通しているという点です。これは前の章でゲームとは何か?を論じた際に先人たちの言葉をまとめるとルールが必須になっているということや、執筆者の方々もルールは重要と考えているからです。

ワタシ的に、以前も書きましたが、達成目標だけが決まっているゲームもあるように思います。その達成目標のためにルールは無用というものです。そんなゲームがあるのでしょうか?

今、ふと思いついたのですが、どっちが先に駅に着くか競争しようぜ!というのはどうでしょうか。この時、始まる前にルールを決めることはあまりないでしょう。自転車に載っていれば、自転車で競争するでしょうし、自転車がなければ走るのかもしれません。バスがあったらバスを使うのかもしれません。いわゆるルールがない状態です。しかし、駅に着いた時にタクシーを使って、相手から何か言われることがあるかもしれません。

これは、ゲームでしょうか? それとも遊びでしょうか?

ワタシ的にいろいろと考えた結果、これは遊びのような気がしてきました。ここでルールができたらゲームになるのかを考えてみます。

交通機関は何を使っても良いというルールを加えてみましょう。このとき、勝利したのは、お金持ちの方でした。これはゲームでしょうか? それとも遊びでしょうか?

なんとなくまだ遊びのような気もします。それはルールがよくないからでしょうか?

ということは、つまらないルールのゲームはすべてゲームではなくなってしまいます。

ルール自体の面白さやゲーム自体の面白さは、やはりゲームの定義に入れるのは、ちょっと違う気がします。

ルールズ・オブ・プレイの執筆者も面白さを入れていません。ワタシ的にもそれには同意です。

ちょっとまで全貌がワタシ的につかめていません。

そいういえば、本書の中に他人に強要された遊びはつまらないという話がでてきます。確かに、そうかもしれません。それは遊びというのは、自発的な行為であり、その目的も自発的に考える、または設定するからかもしれません。

しかし、ことゲームにおいては、製作者がいることから、目的が定められています。古今東西、目的がないゲームはあるでしょうか? それが自然発生的に定められることはあるでしょうか? ゲームを作っていて、神の啓示でゲームの目的が決まるでしょうか?

やはりゲームはゲーム製作者によって目的が定められたもののような気がしてきました。そして、それが遊びとの決定的な違いかもしれません。現在のところワタシがざっくりと考えている遊び、ゲームの定義をまとめるとこんな感じです。

遊びとは、自発的に目的を達成する行為

ゲームとは、定められた目的を達成する行為

ただ、これではまだ条件が足りないようにも思っています。もしくは、ゲームの細分化が必要なのかもしれません。この辺りは、本書を読みつつさらに考えていこうと思っています。

第11章「ルールを定義する」

この章では、ルールとは何か?について定義していきます。ルールの特性について挙げ、ルールとはどのようなものか、どこまでがルールなのか、ルールと魔法円(マジックサークル)の関係などについて明らかにしています。また、この章で述べられているルールとは、形式的な観点から考えたルールを指しています。

キーワード:ルールの特徴、魔法円

私的メモ:ルールの特徴について描かれている点は、非常に面白いです。言われると納得することばかりですが、改めてルールについて再認識しました。ルールとルールじゃないものの分け方については、一読の価値ありです。ワタシ的には、文明と文化の違いと似ているかもと思いました。

また、本書ではルールのないゲームは存在しないとしています。ワタシ的に当初はルールのないゲームも存在するのではないか?と考えていましたが、本書を読みがなら考えていく中で、やはりルールのないゲームは存在しないと思います。ルールのないゲームのようなものは遊びではないかということです。

そのあたりについては、前回の章で考えていますので、気になる方はどうぞ。ただ、まとまった考えではないので、ご了承ください。

本書で紹介されているバーナード・デコヴン氏の言葉で、
「ゲームとは、人々に共通の目標、しかもそれを達成しても、ゲームの外の世界に何も影響しないような目標を提供するものだと思う」
とあり、ワタシ的に共感できる点があるなあと思いました。

さて、現状で本書を読みつつ考えてきた遊びとゲームの定義について、再度まとめていきます。

遊びとは、自発的に目的達成を目指す行為

ゲームとは、定められたルールと目的達成を目指す行為

前のエントリでは「目的を達成する行為」としましたが、達成しなくてもゲームとしては成立するので(つまり負けの状態)、目的達成を目指す行為としました。遊びについても同様です。

ワタシ的に遊びとは、何かしら目的があり行う行為だと思います。結果、目的が達成されなくても、遊びとしては成り立つと思います。遊びにおける目的はワタシ的には様々あると考えており、ゲームのようにわかりやすいものではない場合もあります。

子供の場合、何が遊びになっているかはわからないことが多いです。ただ、積み木を積み上げるとしても、そこには子供なりの何かがあると考えています。それは、快感を得たいかもしれませんし、積み木の構造を知りたいということかもしれませんし、高く積み上げたいかもしれません。

そして、それらの目的は時間とともに常に変化していくものだと考えています。遊びが捉えにくいのは、この目的が常に変化するからではないかなと。あくまでワタシ的にです。

第12章「三つの水準のルール」

この章では、ゲームのルールを暗黙のルール、構成のルール、操作のルールの3つに分けて解説しています。この3つの視点により、ゲームの本質について紐解いていき、ルールブックに書かれていないルールについても紹介しています。特に、三目並べと三から十五を例にしたルールの話は、一度読んでおきたい内容です。

キーワード:暗黙のルール、構成のルール、操作のルール、ルールブックに書かれていないルール、長考、ルールの本質、エレガントなルール、ゲームの同一性

私的メモ:ルールについて、操作のルール、構成のルール、暗黙のルールに分類することで、ゲームのルールの理解を深めるというアプローチは、非常に興味ふかいです。

全く異なるルールに見えても、実は同じことである話は、何度も読んでおきたいとワタシ的に思いました。というのも、似ているルールが本当は違う場合もあるからです。

このあたりは、ゲームを作る側よりも、ゲームを評価する側に求められるスキルなのかもしれません。その評価方法は、一読しただけでは、わからなかったので、できれば習得したいなとワタシ的に感じました。

ちなみに、本書ではルールの本質として、操作のルールと構成のルールを挙げています。この2つについては密接な関係にあるので、合わせて考える必要があるそうです。

また、ルールブックに書かれていないルールの話は面白かったです。特にゲームの生命というエッセイは一度読んでみたいなと。

一番興味深かったのは、長考についてです。長考問題については、ボードゲーム業界でこれまで何度か話題になっていますが、長考についても暗黙の時間制限があるというのは、明示的にルールに記載されていなくても、暗黙の前提でプレーヤーが了解している事項だからという話です。

確かに、ルールブックに記載するような話ではないのかもしれませんね。一方でルールブックにあえて記載する必要が出てきたら、それはそれで寂しい話なのかもしれません(そもそもゲームシステム上、時間制限が必要なものは除きますが)。

また、エレガントなルールをデザインするの項目は、ゲームを作るときにはあまり意識しなくても良いですが、製品化するときには意識したい内容なだなあと感じました。

第13章「ディジタルゲームのルール」

この章では、これまで話した内容をデジタルゲームに適用していくという内容です。テトリスのルールを例にデジタルゲームのルールについて紐解いていきます。また、デジタルゲームにおけるルールと、ルールでないものの違い(分け方、境界)について解説しています。

キーワード:デジタルゲームのルール、ルールとルールでないもの、プログラム、コード

私的メモ:ここで一度ルールについて振り返っています。簡潔にまとまっているので、改めてルールについて見るときには、この章が良さそうかなと。また、プログラム(コード)がルールという流れはとてもわかりやすく、またそこからルールのものと、ルールでないものがある話について入っていき、いろいろと納得できる点が多かったです。

デジタルゲームの特徴として、音や映像などがあるというのがあります。この音や映像の項目については、ゲームデザイナなら一度は軽く読んでおきたい項目のように思います。

単純に音や映像がゲームを盛り上げるだけの演出ではないケースについて考察されているからです。

また、ゲームのルールのデザインとプログラミングの関係について書かれているので、ゲームを作るときにプログラミングを知っていることは逆に役立ちそうな気もしました。

第14章「創発システムとしてのゲーム」

この章では、創発システムとは何か?について、複雑さを例に解説しています。ゲームを制作する上で、複雑さをどう取り扱っていくのかについて、4種類のシステムの例や創発が起きる状況などについて、細かく解説しています。これまでは、どちらかというとゲームにおける要素の定義でしたが、この章からはゲームを作る上で押さえておきたいポイントについて書かれています。

キーワード:創発、創発システム、複雑さ、固定、周期、混沌、ゲームで遊ぶとは、ボトムアップ、ライフゲーム、エンジン、組み合わせ、文脈、可能性の空間、ゲームデザイナーの磨くべき重要な能力

私的メモ:そもそも創発システムとは何か? について、わかりやすく解説されています。創発システム自体は、とても単純な概念ですが、それを生み出すのがとても大変に感じました。

「Artificial Life(人工生命)」という言葉を生み出したアメリカ合衆国の計算機科学者「クリストファー・ラングトン氏」が提唱する4種類のシステムの話は、ゲームを作る上でざっくりと押さえておきたい概念だと思います。

プログラマで数学者ジョン・キャスティ氏の話も興味深く、複雑さの障壁を超える話は、創発システムを理解する上でわかりやすい例えです。

また、ゲームを作る上で大切な「組み合わせ」と「文脈」について昔流行ったライフゲームを例に紹介しており、懐かしさ半分と納得できる例えでもありました。まだまだ、ワタシ的には理解が及んでいない点もありますが。

「ルールが複雑な方が、システムにおいて、いっそう複雑であるとは限らない。」という話は、ゲーム制作の上で知っておきたい内容です。ルールを複雑にすれば、面白いゲームができるというわけではないので、一度読んでおきたい項目だなあと。

まあ、実際に複雑さについて理解していれば、よくわかる内容ではあるのですが。

この章で語られる創発のシステムは、無限の可能性を生む概念で、繰り返し遊びたくさせるための鍵となるデザインの方策でもあるので、ゲーム製作者にとっては基本的な概念になりそうな気がします。

ゲームで遊ぶとは何か?については、ワタシ的に複雑さを理解する上でわかりやすい例えでした。

第15章「不確かさのシステムとしてのゲーム」

この章ではゲームの中心にある不確かさについて解説しています。不確かさというと、ランダムなどを想像しがちですが、ランダムな要素(例えばダイスなど)を入れれば良いという話ではありません。不確かさとは何か? そしてゲームバランスに大きな影響を与える不確かさを理解する上で読んでおきたい項目。

キーワード:確率、確かさ、不確かさ、リスク、ランダムな感じ、事象(イヴェント)、ゲームバランス、不確かさの崩壊

私的メモ:不確かさについて改めて考える良い章でした。不確かさとリスクの関係性についても、理解が深まりました。

最初に、「スポーツ中継が生放送なわけ」について書いてありますが、この例でゲームにおいても不確かさの重要性がわかります。

また、ワタシ的に一番興味深かったのは、「ランダムな感じ」の項目です。ダイヤモンドゲームを例にランダムな感じについて解説していますが、この感覚はゲームを作る上で知っておくと良い気がします。プレーヤー側として知ってしまうと逆につまらないかもしれません。マジックの種明かし的な感じかなと。

組み合わせの結果を事象(イヴェント)と呼び、イベントの発生頻度について把握するという話は、ゲームを作る上では誰しもが考える内容かなと。

また、「不確かさの崩壊」の章では、コンピュータのランダム、偶然を戦略に利用する、確率についての誤解について取り上げていますが、これはゲームを作る上で知っておく必要がある内容だなあと。特にの確率についての誤解については、ゲームバランスに大きく影響する項目なので、ゲームを作る上で知らないと逆に損をする内容だと思いました。

第16章

私的メモ

意味は情報に関係ない。
情報は不確かさを測る。
→不確かな情報が多いものと、不確かな情報が少ないものがある。つまり、答えがわかりにくい問題は良く、答えが明確な問題は悪い。

人はコミュニケーションによって情報を得る。情報を得られないものは、意味がなく、つまらないと考えられる。

ここで、情報を得るとは、不確かな情報の縮小と考えることができる。人は情報を得て快感を得る。良く話す人は、それを知っていて、相手に快感を与えているわけだ。お笑い芸人や面白い人がモテるのは、そういうこと。

話したくない人は、情報を渡すことをマイナスに捉えている。自分だけが情報を持っていることに価値があると感じているから。ミステリアスな人がモテるのは、不確かな情報が多いからとも考えられる。

情報とは、メッセージを選ぶ際の選択の自由度のこと

・ノイズ
ノイズによって、得た情報に歪み、間違い、無関係な情報が混入し、受信されたメッセージの不確かさが増えたと確信が持てなくなる。情報が縮小したかどうか、わからない。

・テレストレーションの面白さ

お題の伝達を絵で行うことで、ノイズが生まれる。ノイズによって、答えが変化する面白さと、逆にそれを克服した時の楽しさがある。

・冗長さ
情報が、抜けていても、他の情報から、推測できる。冗長な情報のパターンによって。

・クロスワードパズル、50%の自由度
すぐに推測できてもダメだし、推測できな過ぎてもダメ。推測しやすいものはすぐに解けてしまうし、推測しにくいのはそのワードが他のマスと関連していないことになるため、結局、1つ1つ解くのと変わらない。

17章

私的メモ

完全情報
不完全情報

ランダムさとは関係ない。運ではない。

意味のある情報÷意味のある不確かな情報=快感度

快感度×理解度=面白さ